ワクチンが終わるまでの、外の世界
感染を避けたい時期と、社会化のいちばん大事な時期が、まるごと重なっています。
子犬を迎えると、たいていこう言われます。
「ワクチンが終わるまで、外に出さないでください」
そして同時に、社会化について調べると、こう書いてあります。
「生後3か月ごろまでが、いちばん大事な時期です」
この2つは、まるごと重なっています。これが子犬の時期で、いちばん悩ましいところです。
なぜワクチンが終わるまで待つのか
子犬は、母犬からもらった免疫を持っています。この免疫は、いつ消えるかが子によって違います。
消えたタイミングを狙って複数回打つので、最後の1回が終わるまで、免疫が完成していません。
そのあいだに、地面のにおいを嗅いだり、他の犬と接したりすると、感染の可能性があります。パルボのように、重くなるものがあります。
これは、待つだけの理由がある話です。
それでも、社会化の時期は待ってくれない
一方で、新しいものを受け入れやすい時期は限られています。一般には生後3〜12週ごろと言われ、この時期を過ぎると、慣れるのに時間がかかるようになります。
慣れておいてほしいものは、たくさんあります。
- 人(男性、子ども、帽子の人、傘の人)
- 音(車、電車、インターホン、掃除機、雷、花火)
- もの(自転車、台車、傘、エレベーター)
- 触られること(足、口、耳、しっぽ)
「外に出ない」を「何もしない」にすると、ここが丸ごと抜けます。
地面に降ろさなければ、できることがある
うちがやっていたのは、これでした。
- 抱っこで外に出る。降ろさない
- 車に乗せて、窓から外を見せる
- キャリーに入れて、人通りのある場所に座っている
- 玄関を開けて、外の音とにおいを入れる
降ろさなければ、感染のリスクはかなり下がります。そして、音と景色と人には慣れられます。
ただし、方針は病院によって違います。「抱っこならいいですか」と、最初の通院で必ず聞いてください。
家の中でも、社会化はできる
外に出られなくても、できることがあります。
- 来客に来てもらう(健康な犬を飼っていない人が望ましい)
- 掃除機、ドライヤー、インターホンの音に慣らす
- 足、口、耳を触る練習(あとの爪切りと歯みがきが変わります)
- テレビで雷や花火の音を小さく流す
うちは、足と口を触られることに慣らしておいたおかげで、爪切りと歯みがきで一度も苦労しませんでした。これは、いちばん投資対効果が高かったことです。
パピークラス
ワクチンの途中でも参加できるパピークラスがあります。
- 参加条件(何回目のワクチンまで済んでいるか)は、主催者によって違います
- 同じ月齢の子犬と、安全な環境で会えます
- 人にも慣れます
かかりつけが開いていることもあるので、聞いてみる価値があります。
怖い思いをさせない
社会化で大事なのは、数ではなく質です。
怖い思いを1回させると、それを覚えます。そして、それを消すのは、覚えさせるよりずっと大変です。
- 嫌がっているのに、無理に近づけない
- 大きな音がしたら、落ち着いてやり過ごす(こちらが慌てると、それが伝わります)
- 平気だったら、褒める
「たくさん経験させる」より「嫌な経験をさせない」のほうが、優先度が高い。
何に慣れて、何が苦手かを書いておく
最後に記録の話を。
「今日、自転車に驚いた」「傘の人が苦手そうだった」「男性は平気だった」
これを書いておくと、次に何をすべきかが分かります。そして、成犬になってから「この子は傘が苦手」と知っていることには、意味があります。
社会化の時期は、数週間で終わります。あとから取り返せないぶん、記録する価値があります。
ⓘ 一般的な情報の提供であり、診断や治療の助言ではありません。気になる症状があるときは、記録を持ってかかりつけの獣医師にご相談ください。
Wandary はひとこと日記に「抱っこで商店街」「車の音に驚いた」と残せます。何に慣れて、何が苦手かが並ぶと、次に何をすべきかが見えます。