社会化の期間は、思っているより短い
数か月で終わります。この時期に会わなかったものは、あとから覚えるのに何倍も時間がかかります。
社会化という言葉は、しつけの一種だと思われがちです。
実際には違って、「世の中には、こういうものがある」と知る期間のことです。そして、その期間は驚くほど短い。
生後3〜12週ごろ
新しいものを、抵抗なく受け入れられる時期。一般に生後3〜12週ごろと言われ、長く見ても16週ごろまでとされます。
迎えたときには、すでに半分が過ぎています。
この時期を過ぎても慣れることはできますが、時間が何倍もかかります。そして「怖い」と一度覚えたものは、上書きするのがさらに難しくなります。
ワクチンの時期と、丸ごと重なる
これがいちばんの難しさです。
感染を避けるために外に出せない時期と、社会化のいちばん大事な時期が完全に重なっています。
だから、降ろさずにできることを探すしかありません。
- 抱っこで外に出る
- 車に乗せて、窓の外を見せる
- キャリーに入れて、人通りのある場所に座る
- 玄関を開けて、外の音とにおいを入れる
方針は病院によって違うので、必ず確認してください。
会わせておきたいもの
意識しないと、家族としか会わずに終わります。
人
- 男性(低い声が苦手になる子が多い)
- 子ども(動きが速く、声が高い)
- 帽子、眼鏡、マスク、傘の人
- 制服の人
音
- 車、バイク、電車
- インターホン、掃除機、ドライヤー
- 雷、花火(音源を小さく流す)
- 工事の音
もの・場所
- 自転車、台車、キャリーバッグ
- エレベーター、自動ドア
- エレベーターの床のグレーチング(意外と苦手な子がいます)
扱われること
- 足、指のあいだを触る
- 口を開ける、歯を見る
- 耳を触る、しっぽを触る
- ブラシ、抱き上げられる
触られる練習が、いちばん投資効果が高い
これは経験として断言できます。
足と口を触られることに慣れていると、
- 爪切りで暴れない
- 歯みがきができる
- 病院での診察が楽になる
- けがをしたときに、手当てできる
うちは4匹目でここを丁寧にやって、その後の10年がまったく違いました。
数より、質
社会化で失敗するのは、たくさん会わせようとしたときです。
怖い思いを1回させると、それを覚えます。そして消すのは、覚えさせるよりずっと大変です。
- 嫌がっているのに、近づけない
- 大きな音がしたら、こちらが慌てない
- 平気でいられたら、褒める
- 1日にひとつで十分
「いろいろ経験させる」より「嫌な経験をさせない」ほうが優先です。
パピークラス
同じ月齢の子犬と、安全な環境で会える場です。かかりつけが開いていることもあります。
参加条件(ワクチンが何回目まで済んでいるか)は主催者によって違うので、聞いてみてください。
犬同士の遊び方を覚えられるのは、この時期しかありません。
期間を過ぎても、あきらめない
12週を過ぎたから終わり、ではありません。時間がかかるだけです。
保護犬で成犬から迎えた場合も同じです。焦らず、少しずつ、怖い思いをさせないように。
うちの3匹目は保護犬で、男性が苦手でした。2年かけて、ゆっくり平気になりました。
何が残っているかを、書いておく
最後に。
「今日、自転車は平気だった」「傘の人に固まった」「男性の声で逃げた」
これを書いておくと、何が残っているかが分かります。そして成犬になってから「この子は傘が苦手」と知っていることには、大きな意味があります。
社会化の時期は、数週間で終わります。あとから取り返せないぶん、記録する価値があります。
ⓘ 一般的な情報の提供であり、診断や治療の助言ではありません。気になる症状があるときは、記録を持ってかかりつけの獣医師にご相談ください。
Wandary はひとこと日記に「傘の人が苦手そうだった」と残せます。何に慣れて、何が残っているかが並ぶと、次にすべきことが見えます。