麻酔が心配なとき、確認しておくこと
リスクはゼロではありません。だからこそ、聞けることを聞いてから決める。
避妊去勢、歯石の除去、しこりの摘出、内視鏡。麻酔が必要な処置は、思っているより多くあります。
そして飼い主がいちばん心配するのが、「麻酔で何かあったらどうしよう」です。
この心配は、正当です。リスクはゼロではありません。だからこそ、確認できることを確認してから決めるのがいいと思っています。
年齢だけでは決まらない
「高齢だから麻酔は無理」と思われがちですが、年齢そのものよりも、いまの体の状態のほうが見られます。
若くても心臓に問題があればリスクは上がりますし、13歳でも状態が良ければ問題なく済むことがあります。
判断の材料になるのが、術前検査です。
術前検査で見ているもの
病院によりますが、だいたいこのあたりです。
- 血液検査(肝臓・腎臓の働き、貧血、血が止まるか)
- レントゲン(心臓の大きさ、肺の状態)
- 心電図・エコー(心臓の働き)
- 身体検査(聴診で雑音がないか)
麻酔の薬は、肝臓や腎臓で処理されます。だからその働きを先に見ます。心臓は、麻酔中の負担がかかる場所です。
術前検査を省こうとする理由は、たいてい費用です。ただ、ここは省かないほうがいい部分だと思っています。
聞いておくとよいこと
遠慮せずに聞いていい、と思っている質問です。
- 術前検査では、何を調べますか
- 麻酔中は、どういう方法で状態を見ていますか(モニター、人がついているか)
- どのくらいの時間、麻酔をかけますか
- 点滴はしますか
- この子の場合、特に気をつける点はありますか
- 日帰りですか、入院ですか
- 費用の見積もりをいただけますか
きちんとした病院なら、嫌がられません。むしろ、先に説明してくれるところが多い。
絶食・絶水の指示は、必ず守る
これは飼い主側の宿題です。
麻酔中に吐くと、それが気管に入る危険があります。だから前日の夜から食べさせない、という指示が出ます。
- 何時から食べさせないか
- 水はいつまでいいか
- 薬は飲ませるのか、飛ばすのか
とくに薬の扱いは、必ず確認してください。毎日飲んでいる薬を自己判断で飛ばすのも、飲ませるのも危険です。
多頭飼いだと、他の子のごはんを食べてしまうことがあります。当日の朝は、確実に分けてください。
無麻酔での歯石除去について
歯石の除去を「麻酔なしで」と提案しているサービスがあります。安く、怖くないように見えます。
ただ、これについては獣医師の団体から注意が呼びかけられていることを知っておいてください。理由として挙げられているのは、おおよそこういうことです。
- 見える表面の歯石しか取れない。歯周病の本体は歯ぐきの中にあります
- 押さえつけられることが、動物にとって大きなストレスになる
- 器具によるけがの可能性
- 診断や処置を、獣医師以外が行うことの問題
きれいに見えるようになっても、中が処置されていないことがあります。気になるなら、まずかかりつけに相談してください。
帰ってからの数日を、記録する
麻酔から覚めたあと、しばらくぼんやりしていることがあります。ふらつく、寝てばかり、食欲がない。多くは1日程度で戻ります。
ただ、どうなったら連絡すべきかは、必ず聞いて帰ってください。
そして、
- いつ食べたか、いつ排泄したか
- ふらつきがいつ収まったか
- 傷を舐めていないか
これを残しておくと、経過の相談が具体的になります。
術前検査の数値は、取っておく
最後に、記録の話を。
術前検査は、元気なときに受ける貴重な血液検査でもあります。
その数値を残しておけば、次に何かあったときの比べる相手になります。とくに次の麻酔を検討するときに、前回どうだったかが分かるのは大きい。
検査は毎回お金がかかります。結果を捨てないでください。
ⓘ 一般的な情報の提供であり、診断や治療の助言ではありません。気になる症状があるときは、記録を持ってかかりつけの獣医師にご相談ください。
Wandary は通院と検査の記録を1頭ぶんまとめて持ちます。術前検査の数値を残しておけば、次に麻酔を使うときの比べる相手になります。