エアバギーを10年、2台使いました
ペットカートの相場は1万円台です。そこに8万円の製品がある理由と、2016年から10年、2台使って分かったことを書きます。
歩けなくなってきた子と、これからも外に出たい人。段差の多い道を歩く人。多頭で、2頭いっしょに乗せたい人。長く使って、実質の負担を下げたい人。
長く使うつもりはなく、どんなものでもいいので一時的に安く済ませたい人。移動が車中心の人。小型犬1頭で、抱っこで足りている人。玄関や廊下に幅54cmの置き場所が作れない人。エレベーターのない建物で、ひとりで階段を上り下りする人。
この記事を読まなくていい人
長く使うつもりはなく、どんなものでもいいので、一時的に安く済ませたい方。
その場合、この記事を読んでも答えは変わりません。1万円台のカートで足ります。下に書くのは全部、「なぜ8万円なのか」を知りたい人のための話です。
ここで閉じていただいて大丈夫です。
ペットカートの相場は、1万円台から2万円台です。そこに7万〜8万円の製品があると、まず「何が違うのか」と思います。
うちは2016年に1台目を買い、いまは2台目を使っています。10年、ずっとこのブランドです。
その前提で、差額で何を買っているのかを書きます。
買い替えました。壊れたからではありません
これが、この記事でいちばん伝わりにくくて、いちばん大事なところだと思います。
1台目は、2016年。最初に飼った子が10歳になった年に買いました。途中からは、2匹目に迎えた保護犬も一緒に乗せていました。
そのあと、2台目に替えました。理由は2つです。
ひとつは、1台目を残しておきたかったから。最初の子との思い出があるものなので、使い続けるのではなく、取っておくことにしました。
もうひとつは、コットを大きくしたかったから。2匹目の子と、そのあとに迎えた3匹目の子。2匹が一緒に乗って、並んで寝られる広さがほしくて、ひとつ上のサイズにしました。
つまり、1台目は壊れていません。2016年に買ったものが、いまも家にあります。
耐久性について、これ以上の説明を私は持っていません。
他のメーカーも見ましたが、戻りました
2台目を買うとき、他のバギーも一通り見ました。
安定性・デザイン・機能性のどれにも不満がなかったので、他のものにする選択肢が、結局ありませんでした。
10年使った人間が、また同じブランドを選んだ。私が書けるいちばん強い評価は、たぶんこの1行です。
まず、向き不向きから
上に書いたとおりですが、もう少し細かく。効く条件が3つあります。
- 押す距離が長い(片道15分以上)
- 道に段差や凹凸がある(歩道の切れ目、砂利、点字ブロック、坂)
- 押す頻度が高い(週に何度も)
この3つのうち2つ以上に当てはまるなら、差額の意味があります。逆に、月に1回、平らな道を5分だけなら、1万円台のカートで足ります。
なぜこの値段なのか
公式サイトは機能を説明していますが、なぜ高いのかは説明していません。構造で整理すると、こうなります。
① 空気入りのタイヤ
安価なカートは、プラスチックや硬いゴムの小さい車輪です。これは、
- 段差を越えるときに引っかかる
- 路面の振動がそのまま中に伝わる
- 押す力が余計に要る
エアバギーは空気入りのタイヤで、これが振動を吸収します。自転車のタイヤと同じ理屈です。
中に乗っているのが、足腰の弱った子や、痛みのある子だと、この差がそのまま体への負担になります。押す側の疲れより、こちらのほうが本題だと思っています。
代わりに、空気が抜けるので、たまに入れる必要があります。そしてパンクします。ここはあとで書きます。
② 3輪と、ハンドブレーキ
前1輪、後ろ2輪。方向を変えるのが軽く、片手でも押せます。
そしてハンドルにブレーキがある。坂道で止められる、というのは、20kgまで積めるものでは安全に直結します。4輪のカートの多くは、後輪のストッパーを足で踏む方式です。
③ コット(犬が入る部分)が、フレームから外せる
レバーひとつで、上の箱だけ外れます。つまり、
- 車に、箱だけ積める(フレームは畳んでトランク)
- 家の中で、そのまま寝床にできる
- 動物病院の待合室に、箱ごと持ち込める
ここは正直に書きます。3つめの使い方は、うちではしていません。通院にカートが要る場面が無かったためです。構造としてできることは確かですが、やっていないことを、やったようには書けません。
うちで効いているのは2つめです。フレームを畳んでトランク、コットはそのまま。「カート」ではなく「キャリー+台車」だと考えると、積み方が変わります。
④ ベビーカーのメーカーが作っている
エアバギーは、もともとベビーカーのブランドです。ペット用はその派生。
車輪とフレームの設計が、人の子どもを乗せる前提で作られている。これが、価格と耐久性の理由のひとつだと見ています。10年もったのは、たぶんここです。
数字(2026年9月・公式ストア)
サイズは耐荷重で3種類あります。
| 耐荷重 | 価格(税込) | |
|---|---|---|
| ドーム3 スモール | 10kg | ¥68,200 |
| ドーム3 レギュラー | 12kg | ¥77,000 |
| ドーム3 ラージ | 20kg | ¥79,200 |
寸法(レギュラー)
- 使用時:高さ103 × 全長96 × 幅53.5cm
- 折りたたみ:高さ82 × 全長30 × 幅53.5cm
- 重量:フレーム+アダプター 8kg、コット 4.1kg
寸法(ラージ)
- 使用時:高さ105 × 全長96 × 幅53.5cm
- 重量:フレーム+アダプター 8kg、コット 4.2kg
※価格と仕様は、エアバギー公式オンラインストア(2026年9月時点)より。変わることがあるので、購入前に公式で確認してください。
この数字から、先に分かること
スペック表は、そのままだと意味を持ちません。生活に翻訳すると、こうなります。
幅53.5cmは、意外と広い
どのサイズを選んでも、幅は同じ53.5cmです。玄関、廊下、エレベーター、店の通路。
畳んでも幅は変わりません(高さ82 × 全長30 × 幅53.5cm)。つまり置き場所は、幅54cm × 奥行30cm が必要です。
買う前に、メジャーで測ってください。「玄関に置けると思っていたら置けなかった」が、いちばん多い失敗だと思います。
合計12kg強を、持ち上げられるか
フレーム8kg + コット4.1kg = 約12kg。ここに犬の体重が乗ります。
- エレベーターのない建物
- 駅の階段
- 車への積み下ろし
ひとりでこれを持ち上げる場面があるなら、実物を持ってから決めてください。分離できるので、フレーム8kgとコット+犬を2回に分けて運べます。それでも8kgです。
サイズは、体重ではなく「体高」で選ぶ
ここが、いちばん間違えやすいところです。
耐荷重を見ると、体重で選びたくなります。でも実際に効くのは、中の高さと長さです。
公式がラージの対応犬種に挙げているのは、ブルドッグ、柴犬、コーギー、コッカースパニエル、イタリアングレーハウンド、フレンチブルドッグ(多頭)です。
イタグレが入っているのは、体重ではなく体高の理由です。8kg前後の犬種ですが、脚が長く、首の位置が高い。
だから、体重が10kgでも、伏せたときの高さと、伸びたときの長さで選ぶ必要があります。
- 伏せた状態の高さ
- 鼻先からお尻までの長さ
- 多頭なら、2頭が並んで伏せられるか
この3つを測ってから、店頭で合わせるのが確実です。
10年使って、よかったところ
中が揺れない
タイヤが太いぶん、乗っている側がまったくぐらつきません。
分かりやすいのは、立ち上がったときです。うちの子たちは走行中に立ち乗りをしますが、それでも安定しています。外を見ようとして立った瞬間にふらつく、ということが無い。
タイヤが小さいカートは、振動がそのまま中に伝わります。乗っているのが足腰の弱った子なら、その差は体への負担そのものです。
押す側の疲れではなく、乗る側の負担の話として見たほうが、この値段は納得しやすいと思います。
いちばんよかったのは、乗っている姿
機能の話ではありません。
楽しそうにバギーに乗っている姿を見るのが、いちばんよかったです。立ち乗りして、外を見ている。それが揺れずにできる。
見た目が可愛いのもありますが、「乗せられている」のではなく「乗っている」という感じになるのが、この道具の本当の価値だと思っています。
合わなかったところ
10年使って、正直に挙げられるのは4つです。
1. 車に積むと、まあまあ場所を取る
とくに大きいコットのとき。本体は折りたためるので、そこはいいのですが、コットがかさばります。
2匹で乗れる広さを選んだぶんの代償です。広さと積みやすさは、そのまま反対向きなので、ここは選ぶときに決めるしかありません。
2. コットは、だんだん汚れてくる
犬が乗る部分なので、当然ではあります。本体より先に、こちらが見た目で古びます。
3. タイヤは、少しずつすり減る
10年で、交換は一度もしていません。ただ、減ってはいます。
4. 安くはない
コスパで見れば悪くない、といまは思っています。ただ、買う時点では高いです。そこは変わりません。
これ以上は、正直に挙げられません。書けないのではなく、無いのだと思います。10年で不満が4つというのは、道具としてはかなり少ないほうです。
ただし、それは「うちの使い方では」という但し書きが付きます。電車やバスでの移動が多い人、雨の日に毎日押す人には、私が知らない不満があるはずです。
安いカートとの、差額6万円
1万円台のカートと比べて、6万円の差で何を買っているのか。整理すると、こうなります。
| 安価なカート | エアバギー | |
|---|---|---|
| 車輪 | 硬い小径の車輪 | 空気入りの大径タイヤ |
| 段差 | 引っかかる | 越えやすい |
| 振動 | そのまま伝わる | 吸収される |
| ブレーキ | 後輪のストッパー | ハンドブレーキ |
| 上部の分離 | できないものが多い | できる |
| 耐荷重 | 10kg前後が中心 | 10 / 12 / 20kg から選べる |
| 中古市場 | ほぼ無い | ある(売却時に多少戻る) |
最後の行は、意外と効きます。手放すときに値がつくかどうかは、実質の負担額を変えます。
逆に言うと、上の項目がどれも要らないなら、1万円台で足ります。「高いほうがいい」ではなく、必要な項目があるかどうかです。
年で割ると、いくらか
8万円は高い。ただ、1台を10年使うなら、年8,000円です。月にすると670円。
1万円台のカートを3年ごとに買い替えるなら、10年で3〜4台。金額はそう変わりません。
この計算は「10年もつ前提」でしか成り立ちません。もたなければ、ただ高いだけです。
その前提について、うちが言えることはひとつだけあります。2016年に買った1台目は、いまも壊れていません。使っていないのは、買い替えたからではなく、取っておくことにしたからです。
買う時期について、ひとつだけ
これは、このサイトで何度か書いていることと同じです。
必要になってから買うと、乗ってくれません。
歩けなくなってから、はじめてカートに乗せようとすると、そこは「知らない、狭い、揺れる箱」です。すでに不安の多い時期に、新しいものを覚えさせることになります。
元気なうちに買って、慣らしておく。
- 家の中に置いて、中でおやつを食べさせる
- 短い距離だけ乗せて、すぐ降ろす
- 歩ける日は歩いて、疲れたら乗るという使い方から始める
ハウスやクレートに慣らすときと、まったく同じ理屈です。
うちの場合は、すんなり乗りました
揺れないからだと思います。
犬がカートを嫌がる理由の多くは、動いたときに足元が不安定になることです。そこが無いので、最初から普通に乗っていました。
とはいえ、これは「元気なうちに買った」からでもあります。最初の子が10歳のときに買いましたが、まだ歩ける時期でした。歩けなくなってから初めて乗せていたら、同じようにはいかなかったと思います。
10年使って、どこが傷んだか
ここが、この記事にしか書けない部分です。
結論から書きます。傷んだのは、犬が触れるところだけでした。
| 10年で | |
|---|---|
| コット(犬が乗る部分) | 汚れてくる。いちばん先に古びるのはここ |
| タイヤ | 少しずつすり減る。ただし交換は一度もしていない |
| フレーム・ブレーキ | 問題なし |
タイヤ交換ゼロというのは、自分でも意外でした。空気入りタイヤなので、もっと手がかかると思っていました。
一度だけ、メーカーに直してもらいました
タイヤの空気入れのキャップが取れたことがあります。
メーカーに連絡したところ、無償で対応してもらえました。
小さい話ですが、長く使う道具では、ここが効きます。部品ひとつで買い替えになるのか、直せるのか。直せる構造で、かつ直してくれる相手がいるか。8万円の中には、それも入っていると考えています。
参考までに、構造上、これから消耗するとしたら以下だと考えています。
タイヤの空気
空気入りタイヤなので、抜けます。定期的に入れる必要があります。
- 月に1回は確かめる
- 自転車用の空気入れが使えます(バルブの形式を確認してください)
- 空気が減ると、押す力が要るようになり、振動も伝わりやすくなります
「最近、押しにくくなった」の原因が空気だった、というのはよくある話です。
パンク
自転車と同じで、パンクしうる構造です。うちでは10年、一度もありません。
それでも、修理・交換ができるか、どこに頼めるかは、買う前に確認してください。直せる構造かどうかが、安いカートとの大きな違いでもあります。
まとめ
買う価値があるのは、こういう場合です。
- 押す距離が長い、道が平らでない、頻度が高い
- これから数年使う見込みがある
- 多頭で、2頭いっしょに乗せたい(コットの広さで選べます)
- 車に積んで出かける(フレームだけ畳めます)
やめておいたほうがいいのは、こういう場合です。
- 車で移動して、着いた先でも押す場面が少ない
- 置き場所(幅54 × 奥行30cm)が確保できない
- 階段をひとりで上り下りする必要がある
- 小型犬1頭で、抱っこで足りている
いちばん伝えたいのは、最後のひとつです。
抱っこで足りているうちは、まだ要りません。ただ、「そろそろかな」と思ったときに買うのでは、慣らす時間がありません。
歩けるうちに買って、乗る練習をしておく。これが、この道具でいちばん大事な使い方だと思っています。
そして10年使って、2台目も同じものを買いました。それが、この記事の結論です。
ⓘ 一般的な情報の提供であり、診断や治療の助言ではありません。気になる症状があるときは、記録を持ってかかりつけの獣医師にご相談ください。
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